【東の帝国ホテル、西の甲子園ホテル】時を超える名建築へ|旧甲子園ホテル見学記

甲子園ホテル

◆ はじめに:新緑と旅ごころに誘われて

6月の初め、やわらかな陽射しと新緑の香りに包まれながら、小さな旅へ出かけました。

この日の目的地は、旧甲子園ホテル。フランク・ロイド・ライトの高弟・遠藤新が手がけた名建築「旧甲子園ホテル」があると知り、見学予約を入れたのです。

「東の帝国ホテル、西の甲子園ホテル」と呼ばれたその建物。
どんな風景と出会えるのか、わくわくしながら向かいました。

◆ 名建築にふれる:旧甲子園ホテルとは?

現在は武庫川女子大学の建物として大切に使われている旧甲子園ホテル。
もともとは1930年(昭和5年)に開業したリゾートホテルでした。

左右対称のフォルムにアジア的な意匠を加えたその姿は、静かに、けれど確かな存在感を放っています。
今回の見学会では、ランチ付きの特別プランに参加し、建物の隅々まで案内していただきました。

◆ まずはランチで心をほどいて

受付は12時45分。落ち着いた雰囲気の食堂に案内され、ハンバーグランチをいただきました。

お腹も心も満たされて、見学への期待が高まるばかり。

◆ 静かな学びの時間:講義室での座学

食後は講義室に移動。学生さんが実際に使っているスクリーンとヘッドセットを使って、ホテルの歴史や建築の背景を学びました。

まるでタイムマシンに乗って当時へ戻ったような、ちょっと不思議で楽しいひととき。

◆ 建物を歩く:光と水、そして音の演出

講義のあとは、一度外に出て、建物全体を正面から眺めます。
左右に広がる客室は、まるで翼のよう。どこかアジア的な佇まいに、和と洋の融合を感じます。

再び中へ入ると、目に入るのは美しい回転扉とシャンデリア。
階段を上がった先で聞こえてきたのは、さらさらと涼やかな水の音。
光と水が織りなす空間は、季節や時間によって表情を変え、訪れる人を静かに迎えてくれます。  

「この場所で過ごせたら、どんなに豊かだろう」
そんな思いが自然と湧いてきました。

◆ 大広間と屋上の絶景へ

次に訪れたのは、かつて食堂やダンスホールとしても使われていた大広間。
天井の高い空間に、木の温もりが広がります。

そして、いよいよ屋上へ。
そこには、甲山と大阪湾を一望する絶景が広がっていました。
「夏はここでビアガーデンが開かれていたそうですよ」との案内に、イメージが膨らみます。
ロープ掛けも当時のまま残っていて、過ぎた時間の息吹が感じられました。

◆ オーケストラルームからの眺めと貴族の記憶

上階には、大広間を見下ろせるオーケストラルームが。
ここからの眺めは、まさに圧巻。まるで貴族の舞踏会を見ているかのような気分に。

天井の装飾、絵画、照明、窓から差し込む光…。
ひとつひとつが丁寧に設えられていて、この建物がどれほどの人をもてなしてきたのかが伝わってきました。

◆ 旅と本と、記憶のリンク

今回の見学の前に読んだのが『甲子園ホテル物語』という本。
この建物がどう生まれ、どんな人々に愛されてきたのかを知ることで、より深く空間を感じられました。

その中で特に心に残ったのが、当時ホテルで働いていたパティシエのエピソード。
のちにホテル近くで洋菓子店を開き、今もそのお店で当時のケーキが食べられると知り、さっそく見学後に訪れてきました。
(※こちらは次回ご紹介します♪)

さらに!先日ご紹介した藤田嗣治さん。
なんと、甲子園ホテルに宿泊されていたそうなんです。
見学会でその写真を目にしたとき、思わず「わっ、つながった…!」と心の中で声が出ました。

◆ 見学予約について(2025年6月現在のご案内)

旧甲子園ホテル(現・武庫川女子大学 甲子園会館)の見学は、事前予約制となっています。
2025年6月現在、個人見学・団体見学ともに電話予約のみ受付中です。

【予約方法】
・受付窓口:甲子園会館 庶務課(見学専用)
・電話番号:0798-67-0290
・受付時間:月曜~土曜 10:00~16:00(※日曜・祝日は休み)

【予約時に伝えること】
・希望日、人数、名前、連絡先
・希望コース(見学のみ or ランチ付きなど)
・キャンセルや変更の際も、必ず電話連絡を

見学は90分ほどで、座学+館内案内の構成。
希望者は、ランチや喫茶付きプランも選べます(時期によって内容が変わることがあります)。
館内は写真撮影OK(個人利用に限る)ですが、静かな見学マナーを心がけてくださいね。

壮麗な建築と光の演出を、ぜひ現地で体感してみてください。

◆ 基本情報

名称:旧甲子園ホテル(現・武庫川女子大学 甲子園会館)
所在地:兵庫県西宮市戸崎町1-13
アクセス:阪神「甲子園口駅」から徒歩約15分
見学方法:要予約(ランチ付き見学会などあり)

公式サイト


◆ まとめとひとこと

旧甲子園ホテルの見学は、ただの“建物探訪”ではありませんでした。
そこには人の手と心が織りなす、物語のような時間がありました。

旅を重ねるごとに、知識や記憶がリンクしていくのは、本当に楽しいこと。
次回は、甲子園ホテルゆかりの場所と洋菓子のレビューをお届けします。どうぞお楽しみに。

◆関連リンク

▼ フランク・ロイド・ライトの世界へ
「ヨドコウ迎賓館見学記|美と幾何学に魅せられて」

▼ 美術と建築がつながる瞬間
「藤田・国吉展|二人の画家が歩んだ軌跡と甲子園ホテルとの不思議な縁」

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