~兵庫県立美術館と小磯記念美術館で味わう、7つの情熱と戦火を越えた創造の軌跡~
はじめに:懐かしい目に、また会いに
初めて藤田嗣治さんの絵に出会ったのは、小さなレストランの壁。叔母と出かけた帰り道だったと思います。
ふと視線を感じて見上げると、そこにはやさしいけれど、どこか寂しげな女性の絵。
「これは藤田さんの絵だね」と、叔母がぽつり。
その言葉がずっと記憶に残っていました。
それ以来、藤田さんの絵に出会うと、まるで何かいいことが起きるような、不思議なあたたかさを感じます。
トレードマークの丸メガネとおかっぱ頭、そして小さなヒゲ。
その姿に触れるたび、懐かしい誰かに再会するような気持ちになります。
今回は、そんな藤田嗣治さんに会いに、神戸の二つの美術館を訪れました。
初夏の風に揺れる木々、夏の近付きを感じる日差し。
風鈴の音のように涼やかさと夏の訪れを感じながら歩んだ、美術の旅の記録です。
藤田嗣治(ふじたつぐはる)さんとは?
フランスで活躍した日本人画家。
乳白色の肌に描かれた女性像や猫の絵で知られ、独自の技法と世界観を持っています。
戦争と平和、東洋と西洋を往還したその人生は、今も多くの人の心をつかんで離しません。
1.藤田嗣治と国吉康雄 〜ふたりの物語〜(兵庫県立美術館)

今回の企画展は、藤田嗣治とアメリカで活躍した画家・国吉康雄(くによしやすお)との二人展。
異国に身を置きながらも、自分の表現を模索し続けたふたりの軌跡が、時間軸に沿って並びます。
パリの光をまとった藤田の乳白色の女性たち、ニューヨークの雑踏を感じる国吉の作品。
戦争と向き合いながら描かれた作品の前では、ただ静かに立ち止まりました。
音声ガイド(別料金あり)はとても親切で、見えにくさのある私にとってありがたい存在でした。
鑑賞後の楽しみ
ミュージアムショップでは、猫のイラストのクリアファイルとはがきを購入。
記念のエコバッグはおしゃれで、今も思い出し、もう一度会いに行って購入しようかと思うほど。
2.藤田嗣治 7つの情熱(小磯記念美術館)

もうひとつの展覧会は、藤田さんの作品を「7つの情熱」に分けて展示する巡回展。
第一展示室では、初めて見る作風の作品に出会い、第二展示室では、好きな「女性と猫」の絵に再会できました。
展示の最後には、藤田に影響を受けた画家たちの作品も紹介されています。
音声ガイドがなかったのは残念ですが、静けさの中でじっくりと向き合える空間でした。
鑑賞後のカフェタイム
併設のカフェスペースでは、セルフで淹れるコーヒーとクッキーのセットが500円。
苦味のある深煎りタイプで、余韻にぴったりの一杯でした。
ここで、先日の県立美術館で購入を迷った本に再会。今回は購入して自宅でも楽しんでいます。気になっていたエコバックは2人のコラボ展の記念バックなのでここでは販売していませんでした。
旅がくれた気づきと余韻
ふたつの展覧会を巡ることで、藤田嗣治という人の表現の幅広さと、時代を超える力を改めて感じました。
戦火の時代を越えて、描き続けるという行為の尊さ。
そしてその絵を今、私たちが見ているということの重み。
迷いながらも、自分を生きる。
そんな人の姿に、私も励まされた気がします。
藤田嗣治さんのおすすめ書籍
基本情報
兵庫県立美術館
- 住所:神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1
- アクセス:阪神「岩屋駅」より徒歩約8分
- 営業時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)
- 定休日:月曜(祝日の場合は翌日)
- 公式サイトはこちら
※三宮と六甲道から神戸市バスもあり。2025年6月時点で、三宮からは1時間に4本程度、六甲道からは1時間に1本程度の運行です。
小磯記念美術館
- 住所:神戸市東灘区向洋町中5-7
- アクセス:六甲ライナー「アイランド北口」駅すぐ
- 営業時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
- 定休日:月曜(祝日の場合は翌日)
- 公式サイトはこちら
駅からは、スロープやエレベーターがあり、段差を避けて美術館に行くことが出来ました。六甲ライナーの駅では、エレベーターの場所を少し探す場面がありました。
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まとめと、次の旅へ
藤田さんの絵は、やさしいのに芯がある。
見ているうちに、自分の心がまあるくなるような、不思議な魅力があります。
今回の旅で、また一歩「自分に会う」時間を持てたような気がします。
次は、どんな絵に出会えるでしょう。
あなたの旅にも、やさしいまなざしが届きますように。

